信州亀齢(きれい)が人気の理由とは?味の特徴や歴史について|長野の日本酒

信州亀齢(きれい)が人気の理由とは?味の特徴や歴史について|長野の日本酒

信州亀齢(きれい)は長野の日本酒ランキングでも常に上位にあがり、日本酒ファンの間で高い評価を得ている銘柄です。その品質の高さ、数々の受賞歴などから注目を集め、現在では入手困難と言われるほど高い人気を誇っています。

この記事では、そんな信州亀齢の概要から人気商品までを一挙に紹介します。

目次

 信州亀齢(きれい)とは

 

信州亀齢とは、信州の地で日本酒造りを行う岡崎酒造が手掛ける銘柄を指します。


日本酒造りに必要となる原料はお米と水。信州亀齢に用いられるお米は長野県産の美山錦とひとごこちなどを使用し、水はアルプスの山から流れ出る信州の名水が使われています。また、アルコール発酵に必要となる酵母は350年もの間蔵に住み着く、「蔵付き酵母」と呼ばれるものが活用されています。


「亀齢」という名称は日本酒に詳しい人であれば、「広島の亀齢」が思い浮かぶかもしれません。両者とも「鶴は千年、亀は万年」という長寿の意味から名付けられており、信州亀齢の方が先に創業していますが、商標は広島の亀齢が先に登録しているという経緯があります。広島と長野と離れており、お互いの商圏が異なるということで、名称を共存して利用するということになっているのです。

 

亀齢の歴史


信州亀齢を製造する岡崎酒造は1665年創業と歴史の長い酒蔵です。長野県上田市に蔵を構える岡崎酒造は、現在も古い町並みが残る地域であり歴史的な町並みが美しく広がっています。


2003年からは岡崎美都里氏が杜氏として、「信州にしかできない日本酒」を目指し指揮をとっています。女性杜氏は日本酒業界でも珍しく、25人程度しかいません。現在は夫の岡崎謙一氏の二人三脚で信州の風土を活かした酒造りを行っています。信州亀齢は日本だけではなく海外人気も高く、日本酒ブームを牽引する銘柄として人気を博しているのです。

 

信州亀齢を造る「岡崎酒造」について

 

 

 

岡崎酒造は1665年から、菅平水系の水を利用した地酒造りを続けてきました。現在でも伝統的な手法を使った、味わい深い日本酒を造っています。


岡崎酒造のある地域は、かつて北国街道の宿場町として栄えた風情ある町並みが特徴。酒蔵の中には歴史ある酒造りに関する道具、書物なども残されており、その歴史の深さをうかがい知れます。


稲倉の棚田では岡崎酒造が酒米であるひとごこちを栽培しています。低農薬、低化学肥料で育てられた米を使った日本酒はキレもよく、自然の恵みが感じられるとして好評。長野という自然豊かな土地とともに成長してきた、正真正銘の地酒を生み出す酒蔵なのです。


  • 社名:岡崎酒造株式会社
  • 所在地:長野県上田市中央4-7-33
  • 創業年:1665年
  • アクセス:上信越自動車道「上田菅平」インターより約10分、JR上田駅より徒歩15分

典拠:http://www.ueda.ne.jp/~okazaki/


そんな岡崎酒造が造る信州亀齢の商品について、詳しく解説していきます。

 

【純米大吟醸】

 

美山錦(みやまにしき) 純米大吟醸

 

長野県で栽培された美山錦を39%まで磨き、手間ひまかけた作業によって造られる1本。


精米歩合とは米のタンパク質や脂質を取り除くために、玄米の表面を削った割合を指します。39%磨きということは、61%も削り取っているということ。つまり、玄米の半分以上はお酒作りに使われませんが、その分造られる日本酒は上質なものに仕上がるのです。


  • 使用原料:米、米こうじ
  • 使用米:長野県産美山錦
  • 精米歩合:39%
  • アルコール度数:15度

 


金紋錦(きんもんにしき) 純米大吟醸


金紋錦は長野で誕生した酒米ですが、長年石川の酒蔵がすべて買い取ったうえで使用してきたという歴史を持ちます。しかし近年、長野の酒蔵でも広く使用されるようになり、県内で復活を遂げたとして注目を集めています。そんな金紋錦を39%磨いたこの銘柄は、杜氏の技術が惜しみなく注がれた極上の1本。華やかかつスムースな味わいは料理を選ぶことなく楽しめるでしょう。


  • 使用原料:米、米こうじ
  • 使用米:長野県産金紋錦
  • 精米歩合:39%
  • アルコール度数:15度

 

【純米吟醸】

 

山田錦 純米吟醸 (無濾過生原酒)


兵庫県加西市産の山田錦は全国でも評価が高く、各地の蔵において高級酒造りに利用されています。


無濾過生原酒と呼ばれるお酒は絞られた状態、つまり非常に新鮮なまま瓶詰めされるものです。そのため、はつらつとした甘みと繊細で上品な味わいがダイレクトに楽しめる、非常に贅沢な1本になっています。若々しい味わいですので、よく冷やして飲むことをおすすめします。


  • 使用原料:米、米こうじ
  • 使用米:兵庫県加西市産山田錦
  • 精米歩合:55%
  • アルコール度数:16度

ひとごこち 純米吟醸 (無濾過生原酒)


ひとごこちは長野県で広く栽培されている酒米です。長野の気候風土に適しており、寒さに強いことが特徴。長野県を代表する美山錦と並び、県内でもメジャーな酒米として幅広く使用されています。


爽やかで軽快な香り、口当たりもスムースでさっぱりとしており、全体のバランスが高いレベルで調和している1本。食中酒としても最適であり、幅広いシーンで楽しめる万能な味わいになっています。


  • 使用原料:米、米こうじ
  • 使用米:長野県産ひとごこち
  • 精米歩合:55%
  • アルコール度数:16度

美山錦 純米吟醸 (無濾過生原酒)


美山錦は全国の酒米生産量の中でも、第三位に位置する主要な酒米。1978年にたかね錦という酒米にガンマ線を照射することで生まれた突然変異種ですが、冷涼な環境に適した性質から長野だけではなく東北といった幅広い範囲で栽培されています。


無濾過生原酒らしいフレッシュな香りですが、穏やかでほんのり上品な甘み、そして美山錦特有のシャープなキレが特徴の1本です。


  • 使用原料:米、米こうじ
  • 使用米:長野県産美山錦
  • 精米歩合:55%
  • アルコール度数:16度

 

【純米酒】

 

ひとごこち 純米酒


こちらは信州亀齢の中でも、岡崎酒造の技術レベルが非常に分かるスタンダード商品として愛される一本です。


一般的に純米酒は玄米の表面を削る量が少ないため、米本来の旨味やコクを感じやすいという特徴を持っています。信州亀齢の純米酒はふくよかでありながらも、上品で華やかな香りも伴った、軽快でキレのいい仕上がりとなっています。


飲む人を選ばない、万人に好まれるお酒として楽しめるでしょう。


  • 使用原料:米、米こうじ
  • 使用米:長野県産ひとごこち
  • 精米歩合:70%
  • アルコール度数:15度

 

信州亀齢は「お蕎麦」と相性が良い日本酒


信州亀齢は「お蕎麦」に合う日本酒を考えて造られています。江戸時代では、蕎麦屋は日本酒を楽しみに行くお店としても活用されていました。席につくと簡単なおつまみで一杯楽しみ、だし巻きなどの料理でさらに一杯、締めとして蕎麦を楽しみ、短時間で帰るという使い方が庶民の楽しみ方として普及していました。


そして、信州といえば信州そばがご当地グルメとして有名。美味しい蕎麦を楽しむには、それに見合った日本酒を合わせなければいけません。現在は多様化しつつある蕎麦屋のおつまみですが、基本的には良質でさっぱりしたものが主流。それらに合わせるため、純米酒や吟醸酒を中心に展開しており、軽快でキレの良い後味が信州亀齢の特徴になっているのです。

 

信州亀齢の受賞歴

 

 

全国には約1,500を超える酒蔵が存在しています。そして、それぞれの酒蔵が個性的な銘柄を造り出しています。スポーツの世界で大会があるように、日本酒においても数々のコンテストが存在しています。


信州亀齢が大きく注目されるきっかけとなったコンテストは、2015年の関東信越国税局酒類鑑評会。女性杜氏として初めて、吟醸部門で最優秀賞、純米部門で優秀賞を受賞するという快挙を達成したのです。この出来事をきっかけに大きく注目を集め、一躍大人気銘柄に躍り出ました。さらに、2021年の全国新酒鑑評会においても、信州亀齢が金賞を受賞するという実績を残しています。コンテストでの入賞は酒蔵、そしてその銘柄が注目を集め全国に名前を広げる大きなきっかけになります。


女性杜氏初という歴史的な偉業も加わったことで、信州亀齢への人気は高まり、現在では入手困難といわれるほど高い注目を集め続けているのです。


信州亀齢は入手困難な幻の日本酒?購入方法について

 

一般的に日本酒を購入する場合、Amazonや楽天市場といったECサイトを利用すればほとんどの銘柄が手に入ります。しかし、信州亀齢は正規特約店限定の取り扱いとなっており、通常のECサイトで購入することはできません。一部の商品については岡崎酒造がある長野県上田市での購入が可能ですが、どの酒屋でも買えるわけではありません。現地購入を検討する場合でも、特約店での限定販売となっていますので注意が必要です。※2023年10月現在


蔵元限定酒や地元の特約店に絞った販売を行う理由は、上田市を訪れてもらいたいという想いと、製造数の少なさに起因しています。これにより、市場に出回る商品は限られており、信州亀齢は入手困難な日本酒として語られています。

 

長野県は亀齢の他にもおすすめの日本酒が豊富

 

大雪渓

 

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長野県は全国第2位の日本酒酒蔵数を誇り、さまざまな銘柄が揃う場所です。そのため、信州亀齢に引けを取らない優れた銘柄も多数存在します。長野の地酒を試したいと思った際には、「NAGANOSAKE.JP」を利用して、自分の好みに合った銘柄を見つけて楽しんでみてください。


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