日本酒の味を決める「精米歩合」とは?日本酒好きも初心者も知っておきたい精米歩合の基礎知識
日本酒の精米歩合とは?
そもそも「精米」とは、玄米から糠と呼ばれる外側の部分を取り除く作業を意味します。普段口にする食用米でも行われている作業であり、精米することで茶色い玄米は普段見慣れている白いお米に変わります。そして、「歩合」とは割合を意味します。つまり、精米歩合とは玄米から表面を削り取って、残った割合をパーセントで表した数値なのです。
例えば、精米歩合が60%と記載されていた場合、40%は削っていることを意味します。ここで注意したい点としては、精米歩合60%は「残っている割合」ということ。60%削っているのではなく、「60%残っている」という意味になりますので覚えておきましょう。また、日本酒の製造工程においてはお米を削るのではなく、「磨く」という表現が使用されることが一般的です。
なぜ、お米を磨くと味や香りが変化するのか
そもそも、なぜお米の表面を磨く必要があるのでしょうか。それは、お米にふくまれるタンパク質や脂質に理由があります。実際に食料としてお米を使用する場合には、タンパク質や脂質が含まれていることは栄養価が高くなりメリットになります。
しかし、日本酒の原料として使用する場合、こういった栄養素が多くなるとお酒に「雑味」となって現れてしまうのです。精米歩合が低ければ低いほど、通常はクリアで綺麗な味わいが表現しやすくなります。一般的に精米歩合50%以下になると、お米に含まれる脂質はなくなるとされています。
そのため、高級酒の多くは50%以下に磨かれていることが多くなっています。
精米歩合の数値が小さいほど美味しいお酒?
精米歩合が低いと、その分お米を贅沢に使っていることになるため、価格も高くなる傾向にあります。そのため、精米歩合の低さが良質な日本酒であると思われがちですが、実際にはそうではありません。
近年では精米を全くしない玄米を使用した純米酒など、お米本来の味わいをあえて強調した日本酒も人気が高くなっています。精米歩合が低いからといって、「素晴らしいお酒」と評価することは少し安易といえるでしょう。あくまでも原料処理工程の一つであり、精米歩合だけでお酒の良し悪しを判断することは難しいのです。
精米歩合による日本酒の香りや味わいの変化
日本酒の原料として優秀なお米の条件として、「タンパク質」と「脂質」が少ないことがあげられます。精米歩合が高くなればなるほど、それらの栄養素が取り除かれ、純粋なでんぷん質の割合が向上します。結果として、お米本来のふくよかさが抑えられた、フルーティで華やかな香りが引き出されるのです。また、味わいもスッキリとシャープになり、上品な仕上がりになる傾向が強くなります。
一方、精米歩合が高い日本酒の場合は、お米のふくよかさが強調された、まろやかな味わいであることが多いのです。
日本酒の種類ごとの精米歩合と特徴
使用原料 |
精米歩合 |
味わいのイメージ |
|
純米酒 |
米、米こうじ |
指定なし |
米本来のふくよかで芳醇な味わい |
特別純米酒 |
米、米こうじ |
60%以下 または特別な製造方法 |
米の旨味を残しながらも、 フルーティで華やかな香りも感じられる |
本醸造酒 |
米、米こうじ 醸造アルコール |
70%以下 |
アルコール添加によるキリッとした味わいが 食事とマッチする |
特別本醸造酒 |
米、米こうじ 醸造アルコール |
60%以下 または特別な製造方法 |
フルーティで華やかな香りとキレのバランスが 良く、本醸造よりもスッキリとした味わい |
吟醸酒 |
米、米こうじ 醸造アルコール |
60%以下 |
フルーティで華やかな香り すっきりかつ米の膨らみを感じられる味わい |
大吟醸酒 |
米、米こうじ 醸造アルコール |
50%以下 |
フルーティで華やかな香りが強く、 切れがありながらもすっきり綺麗に味わえる |
まとめ
日本酒の味わいに影響を与える「精米歩合」について解説しました。精米とは、玄米から糠と呼ばれる外側の部分を取り除く作業を意味しており、日本酒造りだけではなく食用米においても行われる作業です。
そして、「歩合」とは割合を意味しています。つまり、精米歩合とは玄米の表面を取り除いて残った割合を指す言葉です。また、日本酒造りにおいては、お米を削るのではなく、「磨く」と表現されることが一般的です。精米歩合が60%であれば表面の40%を磨き、残りの60%を使って日本酒造りを行ったということ。一般的に精米歩合が低ければ低いほど、多くのお米が必要になりますので日本酒の価格も高くなる傾向にあります。そのため、精米歩合だけで日本酒の味わいや価値を判断してしまうケースも少なくありません。
しかし、精米歩合だけを意識して日本酒を選んでしまうと、他の美味しい銘柄との出会いを逃してしまうことも考えられます。あくまで一つの指標として考え、柔軟な姿勢で日本酒選びを楽しみましょう。
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