日本酒の適切な温め方とは?電子レンジか湯煎かの迷いも解決!

日本酒の適切な温め方とは?電子レンジか湯煎かの迷いも解決!

日本酒は温めることで冷酒や常温とは異なる味わい・風味が楽しめる奥が深いお酒です。「日本酒の適切な温め方を知りたい」という方のために、美味しさが一層際立つ温め方や、注意点を解説します。

適切に温めた熱燗で、心がほっと緩むひと時をお楽しみください。

目次

 

日本酒の温め方

熱燗

 

日本酒を温める際は直接火にかけて温めるのではなく、徳利を使用し湯煎する方法が理想的です。日本酒は直火で温めると温度が上がり過ぎて香りやアルコールが飛んでしまうため、湯煎によりじっくりと日本酒を温めていくことで、香りが飛んでしまうことを防ぐことができます。


徳利を使用して日本酒を温める方法は、次の通りです。


  1.  徳利に日本酒を八分目ほど注ぎます。
  2.  鍋に水を張り、徳利が浸るくらいの水の量に調整します。
  3.  鍋から徳利を取り出し火にかけた後、沸騰したら火を止めます。
  4. 火を止めた後に鍋の中に徳利を入れ、お湯に浸します。
  5. 浸す時間により、燗酒の温度を調整します。

なお、徳利の注ぎ口にラップをしておくと、より香りを逃しません。

<湯煎の時間と温度の目安>
例.1合の日本酒に対して1合の徳利を使用して湯煎すると、2〜3分で40〜45℃に温まります。

 

 

徳利がないときに「マグカップ」や「コップ」は使える?

マグカップ

 

湯煎したいけれど徳利がない場合は、耐熱性で背の高いマグカップやコップで代用ができます。ただし、マグカップの種類によっては破損する恐れがあるため注意が必要です。


マグカップを使った温め方は次の通り。


  1. マグカップに日本酒を注ぎ、ラップで蓋をします。
  2. 鍋に水を入れて火にかけ、お湯を沸かします。
  3. 火を止めた後に、マグカップを鍋の中に入れます。
  4. 温度のムラをなくすべくスプーンやマドラーで静かに混ぜ合わせ、お好みの温度まで湯煎します。

<ポイント>

2〜3分程度でほどよい「ぬる燗」となり、「熱燗」にする際はもう少し長めに湯に浸けておきましょう。一度に多くの燗酒を温めても、最後に飲むときには冷えてしまうため、適度な量を温めるのがおすすめです。

 

 

電子レンジの利用が便利

電子レンジ

 

前段では徳利がない時はマグカップやコップを使って日本酒を湯煎する方法をお伝えしましたが、手軽さを考えるのなら電子レンジの利用がおすすめです。電子レンジなら徳利以外にも、耐熱のマグカップやスープカップでの代用もできます。


【徳利】

  1. 徳利の九分目まで日本酒を注ぎます。
  2. 徳利の注ぎ口にラップをかけます。
  3. 電子レンジに入れ、1合なら500Wにて50秒ほど温めます。(熱燗なら60秒ほど)

【マグカップ】

  1. マグカップに日本酒を注ぎ、ラップで蓋をします。
  2. 電子レンジで500w〜600wで数十秒温めます。

温かさが足りない場合は、追加で10秒ずつ温めていくと良いでしょう。

電子レンジで温めた際は器の上下で温度差が生じてしまうため、温め終わった後にマドラーなどで混ぜ合わせると温度のムラがなくなります。

電子レンジを利用して日本酒を温めるのは簡単で便利ではありますが、急激に温度が上昇するため日本酒を飲んだ際にピリピリとした刺激を感じたり、風味が飛んだり、温度のムラによる味にバラつきが生じてしまうのがデメリットです。

日本酒本来の味わいを楽しみたい時や燗酒のなめらかな味わいを満喫したい時は、やはり徳利を使って湯煎で温めるのがを最もおすすめです。


電子レンジでも美味しく飲むコツ


1.まずは20秒温めて徳利の内部を均一にする

電子レンジを利用して日本酒を温めると、徳利の上部と下部で温度差が生じてしまうのは上でお伝えしたとおり。そのため最初は20秒ほど温めてから取り出し、徳利を振ることで内部の温度を均一にしてから本格的に温めると良いです。


2.アルミホイルをかぶせる

徳利の上部1/3の部分にアルミホイルをぴったりとかぶせることで内部に対流が起き、日本酒をムラ無く温めることができます。ただし電子レンジは基本的にはアルミホイルが使用不可であるため、お使いの電子レンジが対応しているかどうか確認してから行ってください。


3.水だけを温めて湯煎する

後片付けを簡単に済ませたい時は、耐熱容器に水を張って電子レンジで温め、そのお湯を使って湯煎しましょう。ぬる燗なら2〜3分、熱燗なら5分程度と時間が掛かりますが、最小限の道具で電子レンジを利用してじっくり温まった燗酒が飲めます。2杯目以降は、耐熱容器の水だけを温め直せばOKです。


日本酒の温度による味わいの変化

 

日本酒を温める行為を「燗(かん)」につけると言い、温めたお酒は「燗」や「燗酒(かんざけ)」と表現されます。燗に分類される温度は30度から5度ずつ刻み、最大で55度前後となります。


ここからは、美味しく飲めるそれぞれの温度や名称について、解説していきます。温度によって変化する日本酒の味わいをお楽しみください。


日向燗(ひなたかん):30度前後

徳利を持った際に熱さを感じない程度が、日向燗です。常温よりも少しだけ温めることで、ほのかに香りが立ちます。名前の通り日向に当たっているくらいの温度で熱さを感じず、お酒の味わいがゆっくりと広がるのが特徴です。常温と比べてほんのりとぬるい程度の温度なので、冬だけでなく夏でも飲みやすい熱さとなっています。日向燗は日本酒の甘みや旨みをちょっぴり立たせたい時におすすめ。湯煎の際は50秒ほど温めましょう。


人肌燗:35度前後

人の体温くらいまで温めたのが、人肌燗です。徳利を触った時は温かく感じますが、実際に口に含むと温度を感じることがなく、舌に負担が掛からず飲みやすいのが特徴です。人肌燗に温めた日本酒は、やわらかな口当たりやなめらかな味わいとともに、米や米麹による香りも楽しむことができます。湯煎で温めた際の目安は、1分ほどとなります。


ぬる燗:40度前後

徳利を触った際に熱くないくらいの温度が、ぬる燗です。人の肌よりも少しだけ高い温度のぬる燗は、口に入れるとほんのりとした温かさが堪能できます。ぬる燗は甘味やうまみが際立ちつつ、香りが立ちながらもトロリとした口当たりの日本酒が味わえる飲み方です。香りの発散があまり強くないことから、吟醸酒の種類によってはぬる燗でも美味しく飲める場合もあります。ぬる燗を湯煎する際の目安の時間は、1分半ほどです。


上燗:45度前後

「燗で美味しい」と言われる日本酒は、上燗を指すことが多いです。45度前後の温度は、バランスよく飲める燗酒の中でも一番高い温度といわれています。燗酒の中でも定番の温度の一つである上燗は、徳利から注いだ時に湯気が出てくるくらいが温度の目安です。上燗では引き締まった香りとともに強くなった甘味やうまみ、そして口につけた際に通常よりもくっきりと感じるアルコールの強さもお楽しみいただけます。上燗の湯煎の目安時間は、2分ほどとなります。


熱燗:50度前後

飲んだ瞬間にハッキリと熱さを感じるのが熱燗です。徳利から湯気が立ち、触ると熱く感じるのが目安となります。熱燗は香りが一層シャープになり、キレとメリハリのある辛口の日本酒が楽しめる温度です。上燗とあわせて人気の温度帯ですが、アルコール感や熱による刺激、香りも強くなります。熱燗の湯煎時間の目安は、3分ほどです。真冬や寒い季節の屋外において、高い温度のお酒を飲みたい時に味わってみてはいかがでしょうか。


飛び切り燗:55度前後

一般的には推奨されてはいないものの、お酒から漂う香りをダイレクトに楽しめるのが高温の飛び切り燗。徳利を持った際に、熱いくらいの温度を感じる日本酒です。飛び切り燗は高温になることで発散された、刺激的なアルコールの匂いと一層シャープになった日本酒らしい香り、パンチの効いた辛口をお楽しみいただけます。そのまま飲む以外にも、ヒレ酒や骨酒、玉子酒といったアレンジメニューに向いている温度です。湯煎で温める際は、3分20秒ほど温めて取り出してください。


日本酒を温めるときの注意点

日本酒

 

日本酒は加熱し過ぎるとアルコールの刺激が強くなるだけでなく、香りが蒸発し本来のうまみが楽しめなくなる可能性があります。そのため、日本酒は60度以上に温めることはおすすめしません。湯煎の際は時間の管理をしっかりと行い、自分の好みに合った温度帯で飲むことが大切です。


また日本酒は温めると体積が増えるため、徳利などにギリギリまで入れると噴きこぼれてしまいます。温める際は徳利などに入れるお酒の量を8割程度にとどめるようにしましょう。

 

ちなみに吟醸酒や大吟醸酒といったお酒は、ちょっと温めただけでも香りが強くなり過ぎてしまい、フルーティーさや果実を彷彿とさせる酸味・甘みのバランスが崩れてしまうことがあります。吟醸酒や大吟醸酒を温めて飲みたい時は、人の手でグラスを温めて飲む方法がおすすめです。


熱燗におすすめの日本酒

熱燗

温度が上がるとアルコールや香りなどは発散しやすくなるため、甘味やうまみをメインで味わえる日本酒がおすすめです。特に純米酒は温めることで奥深さやうまみが際立つため、燗酒に向いているといえるでしょう。また本醸造酒や普通酒なども熱燗に向いており、温めることで美味しさが増します。ここからは、熱燗におすすめの日本酒をご紹介していきます。


寒竹純米酒

室温だけでなく、ぬる燗で飲むのもおすすめなのが寒竹純米酒。原料米には美山錦を使用しており、純米酒ならではのしっかりとしたお米のうまみと味わいが満喫できます。信州の米と水、人の手によって造り出された長野ならではの特別純米酒です。


お取り寄せはこちら:寒竹純米酒


七笑 辛口純米

冷やだけでなく燗でも美味しく飲めるのが、七笑 辛口純米。まったりとしながらもコクがあり、絶妙なキレの良い後口を味わえる日本酒です。温めることでスッキリとした味わいの後に広がる、お米のうまみと口当たりの良い風味をお楽しみください。


お取り寄せはこちら:七笑 辛口純米


神渡 本醸造 上辛口

やわらかな香りとともに、スッキリとした飲み口で飲み飽きないのが神渡 本醸造 上辛口。燗酒にすることで味わいが一層広がります。キレとうまみを楽しめながらも料理の味を邪魔しないため、食中酒としても人気です。


お取り寄せはこちら:神渡 本醸造 上辛口


まとめ

日本酒の温め方について、湯煎の方法や電子レンジでの温め方、温度ごとの燗酒の酒類などをご紹介しました。日本酒は常温で飲んだり冷やして飲んだりするだけでなく、ひと手間を加えて温めることで味わいが大きく変化し、異なる表情を楽しめる懐の深いお酒です。


今回ご紹介したご自宅でも簡単にできる温め方を参考にして、今晩は燗酒に挑戦してみませんか?

一覧に戻る