日本酒のメリット、デメリットとは?特徴を知って日本酒ライフを長く楽しもう
日本酒を飲むメリットは?
皆さんは「酒は百薬の長」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。この言葉は「適量のお酒は、どの良薬にも勝る」という意味で使用されています。
百薬の長と言われるように、日本酒は適量を楽しむ分には健康的な飲み物と言えるでしょう。日本酒には多くの栄養素が含まれているため、私たちの体を良好に保つサポートをしてくれる一面もあります。
日本酒に含まれる栄養素では、特にアミノ酸とビタミンB6が効果的です。他のアルコール飲料と比べて、日本酒にはアミノ酸が豊富に含まれています。アミノ酸は体のたんぱく質を構成する栄養素であり、私たちの健康を維持するために不可欠です。
また、ビタミンB6はたんぱく質の働きをサポートし、たんぱく質から筋肉や血液などが作られる過程で重要な役割を果たしています。
さらに、日本酒は栄養素以外にも
- 食欲アップ
- 美肌効果
- リフレッシュ効果
といったメリットが期待できます。それぞれの効果について、確認していきましょう。
食欲アップ
レストランや旅館など、食事の場で「食前酒」が提供されることがありますよね。これはお酒に胃の働きを促進させ、食欲を高める効果があるからです。
日本酒の主成分であるアルコールには、消化酵素の分泌を増やしたり胃の血流を良くしたりする作用があります。この作用によって胃の動きが活発になり、食欲も増すことが期待できるのです。
また、多くの日本食と相性の良い日本酒は、伝統的な日本料理の風味をより引き立てる役を担います。日本酒のアルコール度数は比較的低いため、さまざまな料理と組み合わせることで食事をさらに楽しむことができるでしょう。このように、日本酒と料理がマッチすることで、食欲アップにもつながります。
美肌効果がある
日本酒の美肌効果として、以下のメリットが期待できます。
- 美白効果によるシミ・そばかすの改善
- 保湿効果によるお肌の潤いの改善
- アンチエイジング効果によるシワ・たるみの改善
米と米麹を発酵させることによって造りあげる日本酒には、お肌に効果的な成分が多く含まれています。
例えば、麹を発酵させる過程で生み出される「コウジ酸」という成分には、メラニンの生成を抑える働きがあります。この働きによって、美白効果が期待できるのです。
また、コラーゲンを作る成分である「α‐EG(アルファ・エチルグルコシド)」によって保湿やハリ・弾力アップの効果が、抗酸化作用を持つ「フェルラ酸」の働きによって若さを保つ効果が期待できます。
美肌効果を得るためには、日本酒を一度にたくさん飲むのではなく、2〜3日おきなど定期的に飲むことがおすすめです。一定の間隔を空けて適量を飲み続けることで、効果を得やすいと言われています。
化粧水として利用することもできる
美容効果のある日本酒は、古くから美容液としても用いられてきました。昭和後期には日本酒を注いで入浴する「酒風呂」も流行したほどです。
現代でも、アミノ酸やコウジ酸、フェルラ酸などの成分を含む日本酒を使用した化粧水が商品化されており、美肌効果を目的として販売されています。日本酒を用いた化粧品の開発に取り組む企業も増えているので、ぜひインターネットや店頭でチェックしてみてください。
実は、ご家庭にある飲料用の日本酒でも簡単に化粧水を作ることができます。準備物や作り方は以下の通り。日本酒を定期的に飲めない方にもおすすめです。
【用意するもの】
- 純米酒(白米と米麹、水だけを原料として造られた日本酒)
- 精製水またはミネラルウォーター
- グリセリン
【作り方】
純米酒と精製水(またはミネラルウォーター)を1:1の割合で清潔なガラス容器などに入れ、グリセリンを数滴垂らして完成です。純米酒の量は、好みに合わせて調整してください。
リフレッシュ効果がある
日本酒には「カプロン酸エチル」や「酢酸イソアミル」といった成分が含まれています。これらはフルーティーな香りの主成分となるため、匂いを嗅ぐことで心と体にリラックス効果をもたらすとされています。
また「アデノシン」という成分には血行を促進する効果があり、冷え性や凝りなどの症状を改善するほか、ストレスを軽減し体をリラックスさせる効果が期待できます。
血行促進や滋養強壮を目的とした「薬用酒」が一般的に販売されていることからも、お酒は健康的な生活に関わっていると言えるかもしれません。
ただし、ストレス解消のみを目的として飲酒を行うと、適量を超えてしまう恐れがあります。日本酒を楽しむことで、結果的にストレス解消につながることが理想と言えるでしょう。
日本酒を飲むデメリット
栄養素や食欲増進、美肌効果など、日本酒がもたらす良い効果についてご紹介してきました。飲むだけではなく、化粧品として利用されていることもわかりました。
しかし、メリットがあればデメリットも考えられるものです。ここからは、日本酒を飲むことによって生じる恐れがあるデメリットについて解説していきます。
飲み過ぎによるさまざまな病気のリスクがある
日本酒に限らず、アルコールの過度な摂取はさまざまな病気のリスクをもたらします。社会問題となっている生活習慣病も、過度の飲酒が一因と考えられているため、日々の暮らしの中で注意していきましょう。過度の飲酒によって起こる可能性がある主な生活習慣病は以下の通りです。
■心臓病・脳卒中
純アルコール換算で1日およそ20g以上の摂取を行うことで、心臓病の発症リスクが上がると言われています。また、摂取量が増えるほど血圧が上昇し、高血圧の原因となります。高血圧は心筋梗塞や脳梗塞の発症につながります。
■糖尿病
1日20g〜25g以上のアルコール摂取によって、血糖値が上昇する可能性があります。
■高尿酸血症
過度な飲酒によって血液中の尿酸値が高くなり、高尿酸血症を発症するリスクがあります。
また、アルコール依存症にも注意が必要です。アルコール依存症は、精神的・身体的に飲酒に依存し、自分では飲酒をコントロールできない状態を指します。
習慣的に飲酒することで耐性が生じ、徐々にお酒の量が増加してしまうのです。お酒がないと物足りず、不安感やイライラ感などを引き起こします。仕事効率の低下や家族関係の悪化をも引き起こす可能性があるため、大きな問題と言えるでしょう。
1日に飲む適切な量
飲酒のデメリットを理解し、メリットを得るためには、「百薬の長」となる適量を守った飲酒を心がけることが大切です。
厚生労働省によると、「節度ある適度な飲酒」として1日平均の飲酒量は純アルコールで約20g程度と示されています。
20gは1合(180ml)程度となり、おちょこで換算すると約4~5杯です。この結果は成人男性を基準としたものであり、女性は男性よりもアルコール分解が遅く肝機能障害がおこりやすいため、成人女性の場合は男性の半量程度が良いでしょう。ただし、個人の体重や健康状態、アルコールに対する耐性などにより最適な摂取量は異なる場合があるのでご注意ください。
参照:厚生労働省 健康日本21
日本酒を長く楽しむための秘訣
最後に、日本酒を長く楽しむための秘訣をまとめました。健康的な体でいつまでも日本酒を楽しめるよう、飲酒を含む日々の食生活や暮らしを見直してみましょう。
適量を守る
先述の通り適量を超える飲酒は、肝臓や心臓などに悪影響を与える可能性があります。ついつい飲み過ぎてしまうという方は「お酒の買い置きをしない」「その日に飲むお酒だけを冷蔵庫に入れる」などの対策がおすすめです。
健康管理に気をつける
いつまでも元気な体で日本酒を楽しむためにも、日々の健康管理を大切にしてください。食事のバランスや十分な睡眠、適度な運動などに配慮して過ごしましょう。
また健康管理の一環として、飲酒を行わない「休肝日」を設けることも重要です。休肝日は飲酒の総量を減らすほか、肝臓などの臓器を修復する効果があるとも考えられています。アルコール依存症を予防するためにも、少なくても週1日以上はお酒を飲まない日を設けるよう心掛けてください。
水分補給を心掛ける
日本酒を楽しむ際には、適切な水分補給も必要です。お酒を飲むときに一緒に摂る水を「和らぎ水」と言いますが、この水を間に挟むことでアルコールの吸収が緩やかになります。アルコールの希釈と消化器への負担が軽減されるため、体への悪影響を抑制する効果が期待できるのです。
和らぎ水は、一般的に飲酒量と同量か1.5倍以上が目安とされています。悪酔いの予防にもつながるので、飲酒の際は和らぎ水もご用意ください。
美味しい日本酒を健康的に楽しもう!
この記事では、日本酒のメリット・デメリットをご紹介してきました。
日本酒は日本が誇る伝統的な醸造酒であり、体に必要となる栄養素も豊富です。これらの成分によって、食欲の向上や美肌効果、リフレッシュ効果も期待できます。美肌効果としては、飲酒だけではなく化粧水としても用いられています。
ただし、日本酒に限らず過度な飲酒はさまざまな病気を引き起こす恐れがあります。適量を守り、健康的な飲酒を楽しみましょう。成人男性の場合は1日1合、成人女性はその半量を目安としてください。日々の体調管理や飲酒時の水分補給も忘れないようにしましょう。
今回の記事が、今後の日本酒ライフを充実させるための参考になれば幸いです。
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