日本酒の新酒が味わえる時期は何月?"しぼりたて"を楽しもう!
日本酒の新酒が味わえる時期
日本酒の新酒ができるのは、一般的に12月〜3月頃と言われています。日本で最も寒くなる季節ですね。
酒造りのためには低い気温が必要で、米を収穫し終わったあとに準備がはじまります。新酒は、新米で仕込んだ「新米新酒」や寒い冬の季節に仕込んだ「寒造り新酒」、造りたてという意味を込めて「初しぼり」などと呼ばれることもあります。
と、ここまで新酒についてお話してきましたが、実は新酒に明確な定義はないそうです。。多くの日本酒は冬から春にかけて醸造されるため、12月から3月頃に発売されるお酒が新酒として販売されているのです。
厳密に言えば日本酒には酒造年度(7月1日から翌年6月30日まで)があるため、酒造年度内に醸造され出荷されたものが新酒となるでしょう。この場合、原材料が新米であるかどうかは関係ありません。
ただし、日本酒の主な醸造は米を収穫した後の10月から3月にかけて行われるため、この時期に醸造および出荷される日本酒も新酒と呼ばれています。これらの理由から、“新酒”と聞くと「冬から春にかけて市場に出回る日本酒」をイメージする人が多いようです。
新酒の味わい 〜爽やかなフレッシュ感を楽しんで〜
新酒の味わいの特徴としては、みずみずしさやフレッシュ感が挙げられます。これらの味わいは、貯蔵期間が短く熟成が進んでいないことから感じられるものです。爽やかですっきりとした口当たりが楽しめます。
また、しぼりたて特有の荒々しさや若々しさも感じられます。ほろ苦さや酸味、ピリピリとしたキレのある呑み心地と表現する人もいます。
さらに、新酒の新鮮さを活かして、火入れを行わない「生酒」や、アルコール度数の高い「原酒」などで提供される場合も多いのが特徴。新酒ならではの飲み方として堪能してみてはいかがでしょうか。
新酒の保存方法
フレッシュさが持ち味の新酒ですが、保管方法には注意が必要です。繊細で味が変化しやすいため、早めに飲み切ることをおすすめします。
新酒を保存・保管するときは、紫外線や湿度、酸化に配慮することが大切です。これらは酒質の劣化を大きく左右します。新酒をできるだけ鮮度の良い状態に保つためには、冷蔵庫での保管が適切です。生酒は特にデリケートなので、5度以下の状態を保ちましょう。
また、新酒を保管する際は、横向きではなく縦向きで瓶を置くことが望ましいとされています。横向きに置くと、新酒が瓶内で空気に触れる面積が広く、酸化のスピードを早めてしまう恐れがあるからです。一升瓶など、冷蔵庫に立て向きで保管することが難しい場合は、小容量の瓶に移し替えるなどの工夫をすると良いでしょう。
全国新酒鑑評会とは?
多くの日本酒愛好家や飲食店および販売店が注目するイベントとして、「全国新酒鑑評会」という大会があります。酒類総合研究所と日本酒造組合中央会が毎年5月に開催しており、その年に造られた新酒の中から特に優れているお酒を選ぶ会となっています。
全国新酒鑑評会は日本酒業界で最も歴史が長く、選考結果の信頼性が厚い大会のひとつです。明治時代から100年以上続いており、国内で最も権威ある鑑評会と言えるでしょう。
この大会では、毎年全国の酒造がこだわりの新酒を競い合い、賞が授与されています。ここからは、全国新酒鑑評会の目的や対象、褒賞についてそれぞれ詳しく説明していきます。
目的
全国新酒鑑評会の主な目的は、新酒の品質を調査・研究し、酒造技術の現状や過程を明らかにすること、そして品質の向上に努めることです。また、優れた日本酒を発見し、褒賞することで、人々の日本酒への認識を高めることにも尽力しています。
毎年この鑑評会を実施することによって、生産者はより良い新酒の醸造に取り組む意欲が湧き、また市場において高い評価を得ることも期待できます。同時に、消費者にとっては優れた新酒を見極める手助けにもなるため、日本酒愛好家が注目する大会になっているのです。
対象
全国新酒鑑評会の主な審査対象は、その名の通り新酒です。この場合、新酒とはその年に醸造されたばかりの日本酒を指します。さらに詳しくいえば、「清酒の製法品質表示基準に則った吟醸酒の原酒であること」「酸度が0.8以上であること」という条件があります。
審査は、審査委員会によって行われます。審査員は日本酒造りや日本酒を評価する専門家の人々です。酒類総合研究所や国税庁、国税局の醸造指導機関の職員のほか、日本酒造組合中央会より推薦された製造者などが含まれています。
このような条件のもと、新酒の特徴や品質が評価され、蔵元や製造者の技術や工夫を競い合う場となっているのです。
褒賞
品質が優れていると認められた新酒には、金賞や銀賞、銅賞、入賞などの褒賞が贈られます。審査には予審・決審があり、予審で評価された新酒は入賞を授与されます。その後、決審が行われ、特に優れていると認められた新酒に贈られるのが金賞です。
開催された年度によって変動しますが、出品された新酒のうち、入賞できるのは約半数、金賞に選ばれるのは3割未満である場合が多いです。受賞自体が難しく、また選考結果の信頼性も厚いので、毎年全国の酒蔵が金賞を狙って競い合っています。
また、審査結果は褒賞の有無に関わらず、酒蔵にフィードバックされています。自分たちで造りあげた日本酒に対して客観的な判断を受けることができ、自信に繋がったり、今後の課題が見つかったりするため、この鑑評会は酒蔵にとって大きな意味を持つのです。
全国新酒鑑評会において受賞歴のある日本酒をご紹介
最後に、全国新酒鑑評会にて受賞歴のある日本酒をご紹介します。NAGANOSAKE.JPのサイト内から人気の日本酒をピックアップしました。全国新酒鑑評会お墨付きの商品なので、気になる日本酒があればぜひチェックしてみてください。
大吟醸 美寿々
「大吟醸 美寿々」は、2022年の全国新酒鑑評会にて金賞を受賞した大吟醸です。米を磨き、水を磨き、技を磨いて醸した美寿々からはフルーティーな香りが漂い、キレの良いすっきりとした味わいになっています。
おすすめの飲み方は冷や常温です。淡麗辛口で食事を爽やかに彩り、特に魚料理によく合います。
米は兵庫県産の山田錦を使用しています。35%まで磨きあげ、低温でじっくりと醸されます。蔵元は長野県塩尻市にある「美寿々酒造」で、手作業が生み出す至高の味わいを大切に、ひとつひとつ丁寧に醸造しています。
木曽路 純米大吟醸 山田錦 磨き35
「木曽路 純米大吟醸 山田錦 磨き35」は、2022年の全国新酒鑑評会にて金賞を受賞した大吟醸です。第69回長野県清酒品評会県知事賞や、第93回関東信越国税局酒類鑑評会優秀賞も受賞しています。
華やかな香りと、しっとりとした甘味のバランスが絶妙で、上品な優しさを感じる日本酒です。濃醇甘口で、和食料理によく合います。飲み方は冷や常温がおすすめです。
酒蔵は長野県木曽郡にある「湯川酒造店」で、自然の恵みを活かした酒造りに励んでいます。湯川酒造店のはじまりは江戸時代と歴史は長く、現在は16代目。伝統を受け継ぎながら、味に厚みのある日本酒を生み出しています。
中乗さん 純米大吟醸
「中乗さん 純米大吟醸」は、2023年の全国新酒鑑評会にて入賞を受賞した大吟醸です。雑味のない優しい味わいが特徴で、後味はすっきりとしています。
米は、長野県で新たに登録された酒造好適米「山恵錦」を使用。精米歩合39%まで磨きあげ、時間をかけて米の旨味を引き出しました。おすすめの飲み方は冷や常温、ロックと幅広く、濃醇甘口で和食料理によく合います。
酒蔵は長野県木曽郡にある「中善酒造店」で、江戸末期に創業された歴史あるお店です。米作りにこだわり、自分たちが手がけた酒米で日本酒を造りあげています。
大雪渓 大吟醸山田錦
「大雪渓 大吟醸山田錦」は、2022年の全国新酒鑑評会にて金賞を受賞した大吟醸です。このほかにも、関東信越国税局酒類鑑評会(2022年)では最優秀賞(首席)、長野県清酒品評会(2022年)では長野県知事賞を受賞しています。
主要公的機関のコンクール出品に向けて仕込まれたこの日本酒は、酒蔵の経験と技術を集結させた希少なお酒です。華やかさと高貴さが溢れたフルーティーな香りと澄み切った味わいが特徴となっています。濃醇甘口で、10度以下に冷やして飲むのがおすすめです。
酒蔵は長野県北安曇郡にある「大雪渓酒造」で、晩酌酒にこだわった醸造を行っています。安曇野の水と米を大切にし、お客さまに愛される日本酒を造り続けています。
まとめ
今回は、日本酒の新酒が味わえる時期を中心に、新酒の特徴や保存方法、全国新酒鑑評会で評価されたおすすめの日本酒についてご紹介してきました。日本酒では、12月から3月頃に醸造されるお酒を新酒と呼ぶ場合が多く、フレッシュで爽やかな味わいが特徴です。ただし、新酒は劣化しやすいので、保管方法に注意する必要があります。
新酒を評価する場としては、全国新酒鑑評会が注目されています。信頼性の厚い審査が受けられるので、毎年全国の酒蔵がこだわりの日本酒を競い合っています。
NAGANOSAKE.JPでは、そんな全国新酒鑑評会で褒賞を受賞した日本酒をはじめ、幅広い長野県産のお酒をご紹介しています。県内56軒の酒造が、高品質のお酒を提供しています(2023年12月現在)。
定番商品から珍しい商品まで、豊富に取り揃えていますので、あなたにぴったりの日本酒を探してみてくださいね。