武重本家酒造
伝統の生酛造り(きもとづくり)で引き出された日本酒の旨味。じっくりと熟成酒を造り、年月を重ねながら地元のファンに愛され続ける歴史深い酒蔵
〒384-2206 長野県佐久市茂田井2179
日本の登録有形文化財に指定された伝統ある蔵で醸される名酒
武重本家酒造は江戸時代前期、武田の家臣が一族を引き連れて長野県佐久市茂田井に土着し、明治元年(1868年)武重家12代当主武重徳左衛門が酒造業の権利を得てこの地に創業しました。
自然環境が豊かで、当時から周りの地域は田んぼが多く稲作が活発に行われており、上質な米がたくさん採れていました。水は蓼科山の伏流水の軟水を使用し、寒冷な気候は寒造りに適しています。武重本家酒造では、長野県産米を全量使い、長野県のこの土地でしか生み出せない味わいの日本酒を造り、昔から地元の人たちに愛されてきました。
武重本家酒造の建造物30棟は国の登録有形文化財にも指定されており、その文化財の中で日本酒が造られています。蔵の正面には、旅と酒の歌人で有名な「若山牧水」の和歌の石碑があり、若山牧水が詠んだ「御園竹」やその名前を冠した「牧水」は武重本家酒造の代表銘柄として親しまれてします。
また、武重本家酒造は様々な映画の撮影地やモデルとなっており、2002年山田洋二監督の『たそがれ清兵衛』、2009年細田守監督、武重洋二美術監督『サマーウォーズ』の舞台となりました。
伝統の生酛造り(きもとづくり)でじっくりと熟成された「旨味」
武重本家酒造の特徴は、伝統の生酛造り(きもとづくり)を活かした日本酒造りです。
生酛造りとは、酒母造りの工程で、蔵の中にある天然の乳酸菌を取り込む伝統的な技法のことを言います。酒母は酒造りに必要な酵母を大量に培養したものです。工程の中で蒸した米と米麹に少量の酵母を加え培養を行いますが、ここで重要なものが乳酸菌になります。乳酸菌は酵母を育てるとともに雑菌を抑える役割を持っており、だいたいの日本酒造りは人工的な乳酸菌を使用しますが、酒蔵の空気中にある天然の乳酸菌を取り入れてじっくり時間をかけて造る製法を生酛造りと呼びます。
この工程の難しさから、この製法を行う酒蔵は非常に少ないですが、武重本家酒造は創業以来ずっとこの生酛造りで日本酒を造っています。
生酛造りで造られた日本酒は、じっくりと熟成が行われているため、酒質が高く「旨味」がたっぷりとのった味わいを楽しめます。熟成によって味がのった日本酒は「燗でも冷やでも美味しい」という特徴を持っています。武重本家酒造の日本酒は、「燗酒コンテスト」の入賞常連であり、冷やして美味しい日本酒コンテストである「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」の両方で優秀な賞を受賞しています。酒をグラスに注ぎ氷を入れて飲んだり、常温に置いた後氷を入れて飲む方法も美味しく、蔵元の武重さんがおすすめする飲み方の一つです。
熟成にかける時間も酒の旨味のひとつ
創業から続いてきた伝統の生酛造り(きもとづくり)の技法を使い、しっかりと手間ひまと時間をかけ、自然環境を活かして熟成させた美味しい日本酒をを造り続けていきたいと考える武重本家酒造。それと合わせて、今の時代に合った新しい酒造りや美味しいどぶろくを造っていき「伝統の日本酒」「新しい日本酒」「どぶろく」の三つの柱で伝統を守りながら新しい挑戦をし続けています。
日本酒が好きな人、日本酒初心者の人、すべての人に届けられるような様々な味わいの酒を造りたい。長野県の小さな酒蔵ではあるけれど、製法にこだわり抜いて熟成された旨味のある酒を造ろうとしています。「熟成にかける時間も酒の旨味のひとつ。ひと手間、ひとつの時間でより味わいが深まる酒造りをしていきたい」と蔵元の武重さんは語ります。
武重本家酒造は、伝統の代表銘柄の基本的なニュアンスは変えず、時節に合わせて少しずつ味わいを変化させるなど現代の趣向に合わせて様々な造りに挑戦しています。そして、その取り組みを消費者の方に知ってもらおうと「酒蔵開放」を定期的に開催しています。言葉では上手く語ることが出来るけれど、実際に酒を飲んで味わってみてほしい。酒を楽しんでほしい。そんな願いを込めて「酒蔵開放」を行っています。酒造りに対するこだわりを持ちながらも、ファンの声に耳を傾け美味しく酒を味わってほしいと呼びかける姿勢は、長年この土地でファンを大切に年月を重ねてきた武重本家酒造だからこそ出来るものです。
熟成の濃厚な味を楽しめる代表銘柄の「牧水」「御園竹」
武重本家酒造の代表銘柄である「牧水」の「生酛純米」は、武重本家酒造の特徴である生酛造り(きもとづくり)でじっくりと造られた日本酒です。2年はしっかりと熟成を行っているため、しっかりとした「旨味」がのっています。冷やとぬる燗の温度帯の違いで、変化する味わいを楽しむことが出来ます。冷やでは力強い旨味を感じることが出来、ぬる燗にすると味わいの丸さを感じることが出来るので様々な温度帯で好きな飲み方を見つけてみてください。
特に生酛造りの熟成を楽しみたい方は「御園竹 蔵内生熟成」がおすすめです。濃厚な甘みと旨味を持ち、とろりとした口当たりは熟成の過程で思い切り味をのせてみたいという想いから造られました。ワイングラスでおいしい日本酒アワードでも賞を受賞しているように、ワイングラスで香りも含めて楽しみたい逸品です。自分の好きな段階まで熟成をさせて飲める楽しみがある酒なので、熟成酒ファンや女性にも人気な日本酒です。
武重本家酒造のご案内
営業時間
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月~金:8:00~17:00
定休日:土、日、祝、年始、旧暦盆
アクセス
電車
JR佐久平駅 千曲バス望月芦田 茂田井入口下車 徒歩2分(バス平日運行のみ)車
上信越道佐久ICから県道44号、国道142号経由17km 約25分
駐車場
-
あり
車:20台