仙醸

幕末の創業より受け継ぐ、柔らかくクリアな味と挑戦の志

〒396-0217 長野県伊那市高遠町上山田2432

創業の地、高遠の発展とともに

仙醸の創業者である黒河内松治郎氏が酒蔵を開いたのは1866年。ペリーの来航以来、鎖国から開国へと向かう動乱の中で、松治郎氏は胃腸薬の販売や馬を使った物流などさまざまな事業を行い、その一つとして信州高遠という城下町の目抜き通りで酒造業を始めました。当初の屋号は「太松酒造店」。太田屋の松治郎ということから命名しました。その後明治、大正へと進む時代の中でも創業の地である高遠で地域の皆様に愛される酒を醸してきました。しかし昭和に入り金融恐慌や戦争といった不穏な時代の訪れと共に日本酒の販売が停滞。そんな中、太松酒造店は町内のもう1社と合併することで「高遠酒造株式会社」として会社設立し、困難な状況を乗り越えていきます。

そして迎えた戦後の成長期。日本酒の消費量が急増する中で社名を「株式会社仙醸」に変更。一級酒の「黒松仙醸」と二級酒の「仙醸」という2銘柄だけを製造し、伸び続ける需要に対応したのでした。仙醸の名は南アルプスの仙丈ヶ岳から、黒松は創業者黒河内松治郎の名前に由来しています。特に黒松仙醸は包装紙で巻いた姿から贈答用としても重宝され、長野県内でも広く知られるブランドとなります。現在は生産量と品質向上のために醸造所を上山田に移しましたが、仙醸と黒松仙醸の酒は変わらず多くの皆様に愛されて続けています。

仙醸の味を広めることは、地域の良さを広めること

黒松仙醸という銘柄においては「飲み飽きせず」「また飲みたいと思えるお酒」を造り続け、多くの皆様に手にとっていただくこと。そして米発酵文化を次世代へと受け継いでいくために、2017年には麹を手造りするための麹室を33年ぶりに復活させました。

主に伊那市内の契約農家さんが大切に作るお米を使い、ミネラル豊富な南アルプスの伏流水で醸した酒は、この地域を表現するように柔らかく優しい味わいです。「仙醸のお酒を入り口として、地域の良さを広めていければと考えています」そう語るのは営業部に所属するシャープ仁妙さん。近年、国内の日本酒業界は酒類の多様化や低アルコール志向の影響を大きく受けています。しかし逆に海外市場では日本酒の再評価が進んでいることに目を向け、仙醸の酒を世界へと発信。同時にこの地域の素晴らしさも伝えていくことに注力しています。

世界市場と国内市場、それぞれをしっかりと見据えて

若年層を中心としてアルコール離れが進んでいるとされる現代ですが、仙醸でもそうした世代に日本酒の魅力をどう伝えていくのかを今後の課題の一つとして捉えています。そのため海外へ向けて日本酒を広めていくと共に、商品づくりやブランド構築を通して、国内の日本酒市場を活性化させるために日々試行を続けています。例えば地元のアーティストとコラボした季節限定酒、アルコール度数を控えめにした日本酒、好きなジュースと割ってたのしめるどぶろくなど、若い世代の嗜好を組み上げた企画を行い国内日本酒市場の活性化に向けた努力を続けています。こうした商品が入口となって、日本酒にトライしてみたいという方が増えてくれたらいい。そう願いながら、仙醸ではこれからも新しい日本酒の楽しみ方を提案していきます。

仙醸の酒造りの特徴・こだわり

シャープ仁妙さんは「実は私自身、イギリスに10年住んだ後にこの高遠町に移住してきたんです。そこで初めて仙醸のお酒を口にして、なんて清らかな味わいなんだろうと感動したのを覚えています」と続けます。

仙醸で醸す酒は割と甘口に近いのですが、特に「黒松仙醸 純米大吟醸プロトタイプ」は甘さが有りつつもしつこさがない、スーッと喉を通るクリアな感覚が特徴です。

この商品を試作した際、甘さの強めな味わいは一般の方にどう受け取られるかと心配もしたそうですが、試飲していただいた方々の評価は上々。プロトタイプ(試作品)として世に出してから年月は経ち、すでに試作の段階を脱しているものの、酒造りにおいて挑戦していく仙醸の姿勢を表現するものとして現在もこの名称で販売されています。

仙醸のご案内

アクセス

電車

JR飯田線伊那市駅からタクシーで約20分

中央自動車道 伊那ICから国道153号経由で約40分

アクセスマップ

仙醸での取り扱い商品

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